あなたにとって幸せとは?
2026年01月29日 09:52

私にとって幸せとは、派手な達成や、誰かに羨ましがられる瞬間のことではない。
むしろ、そういうものに寄りかかっていた頃ほど、心は忙しく、落ち着かなかった。
満たされた実感が来る前に、次の不足が見えてしまうからだ。
幸せを「勝ち取る物」と考える限り、人生はずっと戦場のままになる。
幸せは、もっと地味で、手触りがある。
朝、目が覚めたときに「今日を生きられる体がある」と気づくこと。
湯気の立つ飲み物を一口飲んで、胸の奥がほどけること。
誰かの短い返信に安心したり、何も起きない夜に救われたりすること。
出来事の大きさではなく、心が“いま”に戻ってくる感覚。
私はそれを幸せと呼びたい。
ただ、幸せを感じるには条件がある。
自分の感情をごまかさないことだ。
苦しいのに平気なふりをして、平気なふりが上手くなるほど、嬉しいにも鈍くなる。
痛みを切り捨てた人は、喜びも切り捨ててしまう。
だから私は、幸せの反対は不幸ではなく、「麻痺」だと思っている。
泣ける人はまだ大丈夫だ。
怒れる人もまだ生きている。
感じる力が残っている限り、幸せは必ず戻ってくる。
そしてもう一つ。
幸せは“誰かに証明するもの”ではなく、“自分で受け取るもの”だ。
評価や比較の物差しを手放すのは怖い。
けれど、他人の目で測った幸福は、他人の一言で崩れる。
自分の感覚で選び直した幸福は、静かに根を張る。
小さな約束を守る。
寝る。
食べる。
逃げる。
助けを求める。
そういう生活の基本を丁寧に扱うことが、結局いちばん確かな幸福につながっていく。
私は、幸せを「未来のゴール」ではなく「今日の呼吸の質」だと思う。
大丈夫なふりをやめて、いま必要なことを一つだけする。
誰かのために背伸びするより、自分のために深呼吸する。
そうやって、自分の人生にちゃんと居続けられた日
――その日が、私にとっての幸せだ。