愚直に生きる
2026年01月08日 09:30

「要領よく立ち回れ」「賢く近道を選べ」
——そんな声が大きい時代ほど、愚直さは損に見える。
だが私は思う。
愚直に生きるとは、鈍さではない。
逃げずに積み上げるという、最も強い意志の形だ。
愚直な人は、派手な言葉で自分を飾らない。
成果を誇張せず、未完成を恥じず、今日やるべき一手を淡々と繰り返す。
目の前の仕事を丁寧にやり、約束を守り、失敗したら言い訳より先に改善へ手を伸ばす。
だから伸びる。
誰にも見えない場所で、信用が育つからだ。
人生は、ときに不公平だ。
誠実な人ほど損をし、ずるい人ほど得をする場面がある。
そこで拗ねて投げ出すのは簡単だ。
しかし、愚直さは「環境がどうであれ、自分の品位だけは手放さない」という宣言でもある。
勝ち負けより先に、卑怯にならないことを選ぶ。
その選択が、最後に人を裏切らない。
愚直に生きる者は、目先の評価に縛られない。
拍手の数ではなく、積み重ねの厚みで自分を測る。
遅くてもいい。
小さくてもいい。
毎日少しずつ前へ進む人は、ある日、誰も追いつけない地点に立つ。
近道を探して彷徨う時間を、黙って前進に変えているからだ。
愚直に生きよう。
器用に見せるより、確かに積み上げよう。
世界が変わっても、誠実さは陳腐化しない。
愚直さは、静かな闘志だ。
自分を誤魔化さない者だけが、最後に自分を誇れる。