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質よりも量に目を向ける

2026年02月04日 09:57



「質を上げろ」と言われ続けると、人は動けなくなる。


完璧な一手を探し、失敗しない角度を測り、評価される形に整えてから出そうとして、結局、何も出ない。


質を求めるほど慎重になるのに、慎重さは上達と別物だ。


上達に必要なのは、結果の良し悪しより先に、試行回数の土台である。


量に目を向けるとは、雑にやれという話ではない。


まず「作る」「やる」「出す」を増やすことだ。


文章なら毎日200字でもいい。


企画なら10個の粗い案を出す。


営業なら断られる回数を増やす。


筋トレなら軽くても継続して回数を積む。


すると不思議なことに、量は勝手に質を連れてくる。


反応の違いが見え、どこが弱いかが分かり、改善点が具体化するからだ。


質は頭の中では育たない。


現場に置いた回数だけ、形になる。


私たちは「良いものを一発で」と夢を見る。


だが現実は逆で、良いものはたいてい「大量の駄作の上」に立っている。


駄作には価値がある。


比較材料になるからだ。


何が駄目かを言語化できるのは、駄目なものを実際に作った人だけだ。


量をこなした人は、失敗の種類を知っている。


だから次に外さない。


これは才能ではなく、統計だ。


もう一つ、量は心を救う。


結果が出ない時、人は自分の人格まで否定しがちだ。


でも「今日は1本書いた」「10回やった」と数で記録できると、努力が霧にならない。


自尊心は、称賛より先に“自分が自分を裏切らなかった回数”で支えられる。


質は目標でいい。


だが、入口に置くと門番になる。


門番に止められて立ち尽くすより、まず通過回数を増やす。


量に目を向けるとは、才能の問題を、習慣の問題に引き下ろすことだ。


今日、未完成のまま一つ出せ。


それが、明日の質を連れてくる最短距離になる。