1200キロの巡礼と、平和を願う瞳。フランス人青年の旅路。A 1,200-kilometer pilgrimage and eyes that yearn for peace.
2026年08月11日 23:40
大阪・北浜にあるSOHO BOX 北浜には、日々、世界中からさまざまな「物語」が届きます。
私たちの「荷物預かりサービス」は、単に荷物を保管するだけの場所ではありません。
そこは、日本を選んで訪れてくれた旅人たちと「一期一会」の縁を結び、その方の人生の一場面を共有させていただく、温かな記憶の交差点でもあります。
■ ヒマラヤから四国へ、情熱の「はじまり」
7月28日、一人のフランス人男性が大小ふたつのバックパックを抱えてやってきました。
1ヶ月の予定で荷物を預けたいという彼。
お話を伺うと、日本に来る直前まで、なんと3ヶ月間もインドのヒマラヤで旅を続けていたというのです。
峻険な嶺を歩き続けた彼が、次なる目的地として選んだのは、日本の「四国八十八か所お遍路の旅」でした。
「これからフェリーで四国に渡るんだ」。
そう語る彼の瞳には、未知なる巡礼の旅への期待と情熱が宿っていました。
私は、彼の大切な「相棒」である小さいほうのバックパックをお預かりし、彼の背中を見送りました。
■ 酷暑の中の再会と、ビーチサンダル
当初の予定では、荷物を取りに来るのは8月25日でした。
しかし、8月9日の日曜日に一通のメールが届きます。
「予定を変更した。明日、荷物を取りに行ってもいいかな?」。
翌日、戻ってきた彼の足元を見て、私は思わず微笑んでしまいました。
あんなに気合の入っていた巡礼の靴は、軽やかなビーチサンダルに変わっていたのです。
「日本の夏は暑すぎて、歩き通すのは無理だったよ」。
彼は照れくさそうに笑いながら、高松や高知を巡ったこと、そして偶然出会った盆踊りの楽しさを語ってくれました。
理想の巡礼とは少し形が変わったかもしれませんが、彼が体験した日本の夏、日本人の優しさ、そして盆踊りのリズムは、彼にとってかけがえのない「思い出」になったに違いありません。
「生きてるって、思い出を作ること」ですから。
■ 平和を愛する彼の目に、被爆地はどう映るのか
今回の再会で、最も心に深く刻まれた瞬間があります。
それは、彼が次の目的地である「広島」について語り始めたときでした。
それまで明るく旅の思い出を話していた彼の表情が、ふと陰り、その目は深い悲しみを湛えました。
彼は、広島に核爆弾が投下された正確な時間まで言葉にし、「広島は、とてもいいところだと聞いている」と静かに語りました。
歴史の重みを心に刻み、平和を心から願う彼の瞳。
その真摯な眼差しに、私は言葉を失うほどの感動を覚えました。
世界を旅し、さまざまな文化や自然に触れてきた彼にとって、被爆地・広島はどのように映るのでしょうか。
彼の旅は広島の後、山口、九州、そして韓国へと続いていきます。
■ 未来から引っ張られる旅路を祈って
以前お会いしたときは「写真はどこにも載せないでほしい」と慎重だった彼が、今回は「自由に使っていいよ」と最高の笑顔を見せてくれました。
これは、SOHO BOX 北浜という場所、そしてオーナーである私への「深い信頼」の証であると感じ、胸が熱くなりました。
私の考えでは、「時間は未来から引っ張られている」ものです。
彼がこの旅の終わりに、どのような「新しい自分」に出会うのか。
広島で何を感じ、九州を越えて韓国へと至るその道程が、彼の人生という大きな物語にとって、光り輝く重要な章になることは間違いありません。
「今日という日は、あなたが一番若い日」です。
挑戦を恐れず、世界を広げ続ける彼の旅の無事を、ここ大阪・北浜の地から心より祈っております。
Bon voyage(良い旅を)!
