完全主義を手放す
2026年01月20日 12:56

完璧にやろうとする人ほど、実は誰よりも真面目だ。
中途半端を許せないのは、怠けたいからではなく、きちんと届けたいから。
失礼があってはいけない、期待を下回りたくない、がっかりさせたくない。
だから細部を磨き、何度も見直し、もう一回だけと手を入れる。
けれどその「もう一回」は、ときに自分の心を削る刃にもなる。
完全主義の怖さは、質を上げることより先に、行動を止めてしまうところだ。
十分に準備できていないから出せない。
まだ改善できるから提出できない。
相手の反応が怖いから公開できない。
完璧の基準は、達成した瞬間に少し先へ逃げる。
追いかけるほど、手元に残るのは「できた」ではなく「まだ足りない」だ。
努力が報われないのではない。
自分で自分の合格点を消してしまうのだ。
手放すべきは、丁寧さではない。
「完璧でなければ価値がない」という思い込みだ。
現実の仕事や人間関係は、正解を一発で当てるゲームではなく、仮の答えを出して、反応を見て、少しずつ合わせていく共同作業に近い。
七割で出して、受け取ってもらい、足りない部分を直す。
その往復のほうが、黙って百点を目指すより、相手に届く速度が速い。
完全主義を手放すコツは、「成果」ではなく「次の一手」に目線を移すことだ。
今日やるべきは、完璧な結論ではなく、動かせる最小の形をつくること。
たとえば資料なら、まず骨子だけ。
文章なら、まず冒頭だけ。
部屋なら、一箇所だけ。
終わらせるのではなく、始められる形にする。
そうすると、不思議と呼吸が戻ってくる。
そしてもう一つ、覚えておきたい。
あなたが思う欠点は、他人にとっては「人間らしさ」でもある。
言い回しの硬さ、少しの不器用さ、迷いながら出した言葉。
その余白が、相手の入り口になることがある。
完璧は美しい。
でも、届くのはたいてい、少し欠けたまま差し出された誠実さだ。
完全主義を手放すとは、諦めることではない。
自分を追い立てる鞭を置き、前に進むための杖を持ち替えることだ。
八十点で出せる勇気は、百点を夢見る執念より、あなたを遠くへ連れていく。
今日のあなたに必要なのは、完璧ではなく、開始の許可。
自分に「これでいい」を言える強さだ。