一つのことを極める
2025年12月24日 13:34

器用な人は羨ましい。
何でもそつなくこなし、いくつものことを同時に進められる。
でも、本当に心に残るものを生み出すのは、一つのことを愚直に続けた人ではないだろうか。
一つのことを極めるということは、決して簡単ではない。
周りが次々と新しいことに挑戦している時、自分だけが同じことを繰り返している。
「これでいいのだろうか」と不安になる。「他のこともやってみたい」と迷いが生まれる。
でも、深みは繰り返しの中にしか生まれない。
千回、万回と同じことを繰り返す中で、最初は見えなかった景色が見えてくる。
誰も気づかない微細な違いに気づけるようになる。
そして、ある瞬間、それは技術を超えて芸術になる。
職人の域に達するのだ。
一つのことを極めた人の言葉には、重みがある。
その道を歩み続けた人だけが知る苦しみ、喜び、発見がある。
浅く広く知っている人の言葉とは、まったく違う説得力がそこにはあるのだ。
現代は、選択肢が多すぎる時代だ。
何でもできるからこそ、何も極められない。
あれもこれもと手を出して、結局どれも中途半端になってしまう。
でも、それでいいのだろうか。
一つのことを極めることは、決して視野が狭いことではない。
むしろ、一つのことを深く掘り下げることで、すべてに通じる本質が見えてくる。
料理を極めた人は、人生の哲学を語れる。
武道を極めた人は、心のあり方を教えてくれる。
あなたには、一生をかけて極めたいものがあるだろうか。
それは仕事かもしれない。
趣味かもしれない。
生き方そのものかもしれない。
何でもいい。ただ一つ、これだけは誰にも負けないと思えるものを持つことが、人生に深みを与えてくれる。
今日も、あなたの「一つのこと」に向き合おう。
それがいつか、あなただけの宝物になる。