陰匿を積む
2025年12月12日 09:40

誰も見ていないところで、あなたは何をしているだろうか。
SNSで称賛される善行、人に褒められるボランティア、評価される親切。
それらも素晴らしいことだ。
でも、本当の人間性は、誰も見ていない時の行動にこそ現れる。
陰徳を積むとは、見返りを求めず、誰にも知られることなく、ただ静かに善いことをすることだ。
朝早く、誰もいない道に落ちているゴミをそっと拾う。
電車で席を譲った後、相手が恥ずかしがらないようにさりげなく離れる。
困っている人を助けても、名前を名乗らずに立ち去る。
そんな小さな行いの一つ一つが、陰徳となる。
現代社会は「見える化」の時代だ。
何をしても、誰かに見てもらい、認めてもらいたいと思ってしまう。
でも、人に見せるための善行は、どこか薄っぺらい。
本当の優しさは、誰も見ていなくても変わらない。
陰徳を積む人は、自分の行いを語らない。
「こんなことをした」と自慢することもない。
ただ黙々と、当たり前のこととして善いことをする。
その姿勢こそが、真の品格なのだ。
不思議なもので、陰徳は必ず巡ってくる。
直接的な見返りではなく、心の平穏として、人との縁として、思いがけない形で自分に返ってくる。
それは宇宙の法則なのかもしれない。
誰も見ていない時にこそ、その人の本質が問われる。
エレベーターのボタンを次の人のために押しておく。
公共のトイレをきれいに使う。
誰かが落とした物をそっと拾って置いておく。
そんな小さな陰徳の積み重ねが、あなたという人間を作っていく。
そして、それはきっと、あなた自身が最も誇れる生き方になるはずだ。
今日から、誰も見ていないところで、一つだけ善いことをしてみよう。
その静かな行いが、あなたの心を豊かにしてくれる。