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不説過とは

2025年10月03日 09:42


「不説過(ふせっか)」という言葉をご存じだろうか。


これは仏教用語の一つで、「他人の過ちを言わない」という意味を持つ。


現代社会において、この古い教えが示す智慧は、私たちにとって極めて重要なメッセージを含んでいる。


SNSが普及した現代では、他人の失敗や欠点を指摘することが日常茶飯事となっている。


匿名性に隠れて批判を繰り返す人々、些細なミスを大げさに取り上げるメディア、完璧を求めて他者を攻撃する風潮。


私たちは知らず知らずのうちに、他人の過ちを探し、それを声高に叫ぶ社会に生きている。


しかし、不説過の教えは問いかける。


他人の過ちを指摘することで、本当に何かが改善されるのだろうか。


批判された相手は心から反省し、成長するのだろうか。


多くの場合、答えは否である。


厳しい指摘は相手を萎縮させ、防御的にし、時には反発を生むだけに終わる。


不説過とは、決して他人に無関心でいることではない。


相手を思いやるからこそ、直接的な批判ではなく、建設的な方法で関わろうとする姿勢である。


相手の良い面を認め、励まし、支えることで、自然な改善を促していく。


これこそが真の慈悲心の表れなのだ。


また、他人の過ちを言わないことは、自分自身の心の平安にもつながる。


人の悪口や批判ばかり口にしていると、自分の心も次第に荒んでいく。


ネガティブな言葉は、発する者の心をも汚していくのである。


一方、他人の良い面に注目し、肯定的な言葉を選ぶことで、自分の心も穏やかになっていく。


現実的に考えても、完璧な人間など存在しない。


誰もが間違いを犯し、失敗を重ねながら成長していく。


自分にも数え切れないほどの過ちがあることを思えば、他人を責める資格など誰にもないはずだ。


むしろ、同じ不完全な存在として、互いに支え合い、励まし合うことが大切ではないだろうか。


不説過を実践することは、より良い人間関係を築く第一歩である。


批判の代わりに理解を、指摘の代わりに支援を、攻撃の代わりに共感を選んでいこう。


そうすることで、私たちの周りはきっと温かな場所になるはずだ。