潜行密用とは? ~水面下で光る真の強さ~
2025年09月08日 09:32
「潜行密用(せんこうみつゆう)、如愚如魯(ぐのごとくろのごとし)」という言葉をご存知でしょうか。
これは中国唐代の禅僧・洞山良价の詩「宝鏡三昧」に由来する禅語で、現代社会を生きる私たちに深い示唆を与えてくれます。
潜行密用とは、文字通り「潜り行き、密かに用いる」という意味で、本当に大切なことは人目につかない場所でひっそりと行い続けることを表します。
そして**如愚如魯**の「愚」は愚か者、「魯」は役立たずを意味し、そのような行いは時として周囲から理解されず、愚かに見えることもあるということを示しています。
現代社会は自己アピールや目立つことが重要視されがちです。
SNSで成果を発信し、周囲の評価を求める風潮が強い中で、この教えは一石を投じます。
真の価値ある行いとは、誰も見ていないところでも継続される地道な努力なのです。
例えば、毎朝早く起きて掃除をする人、誰にも知られずボランティア活動を続ける人、黙々と技術を磨く職人など、彼らの行動は派手さはありませんが、社会の基盤を支える重要な営みです。
この禅語が教えるのは、目先の賞賛や評価に惑わされず、自分が正しいと信じる道を歩み続ける勇気です。
表面的な成功を追うのではなく、長期的な視点で真の成長を目指す生き方こそが、本当の強さを育むのです。
日々の小さな積み重ねを大切にし、周囲への感謝を忘れずに謙虚に生きること。
それが潜行密用の精神であり、現代を生きる私たちにとって貴重な指針となるでしょう。